「奇妙な果実(Strange Fruit)」  詩 ルイス・アレン


     南部の木々に奇妙な果実がむごたらしくぶらさがっている

     その葉は血に染まり、根元にまで血潮はしたたり落ちている

     黒い遺体は南部の微風に揺れそよぎ、

     まるでポプラの木から垂れさがっている奇妙な果実のようだ

     美しい南部の田園風景の中に思いもかけずみられる

     腫れあがった眼や苦痛にゆがんだ口、

     そして甘く新鮮に漂う木蓮の香りも、突然肉が焦げる匂いとなる

     群がるカラスにその実をついばまれた果実に雨は降り注ぐ

     風になぶられ、太陽に腐り、遂に朽ち落ちる果実

     奇妙な、むごい果実がここにある


ビリー・ホリデイが、詩人ルイス・アレンから見せられた一遍の詩。
それはリンチによって殺された黒人が木につるされている南部の悲惨な様を描いた詩だった。

19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ南部では白人による黒人へのリンチが横行していた。
当時のリンチは地域共同体のイベントであり、リンチの日はあらかじめ告知され、社交場のように
女性や子供までも集まってきた。リンチは大衆の娯楽であり、ターゲットとなった黒人がすぐに
死なないように少しづついたぶり続けた。